多左衛門家の布団歩き
どんな伝承か
綾織村字砂子沢に多左衛門という家がある。この家で二三十年前に屋根の葺き替えをした時、葺大工たちが座敷に寝ていると、何か判らないが布団の上を渡り歩く者があって、とても寝つかれなかった。起き上がっていると来ないが、横になるとまた出て来るので、その夜は一睡もできなかったという。これはザシキワラシの悪戯であろうと人々は語り合った。この家もかなりの暮らし向きの家である。遠野町の佐々木媛子から大正八年七月に聴き取られた話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。