水口家を去ったクラワラシ
どんな伝承か
その後、水口の家の土蔵にいたクラワラシが居なくなったと噂されるようになった。それからは家計があまり思わしくなくなったけれども、今でもなお相当な暮らしをしているという。見えなくなったクラワラシは、隣家の沢という家へ移ったとも言われた。沢という家はこの部落でも屈指の有徳な家である。綾織村字大久保の水口家に福神が入り、土蔵にクラワラシが居るようになって富んだという前条に続く話で、遠野町の佐々木媛子が母から聞いた話として大正八年七月に記録された。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。