酒を飲んだと見栄を張る男
どんな伝承か
江刺郡に伝わる笑話である。酒好きの男が、飲みたいが思うようにいかず不機嫌でいたが、ある寒い日にほろ酔い機嫌で往来に出て来た。若者らが寄って、今夜は酒があるなと言えば、なあに粕を食ったんだよと答えたので、粕は犬も食わないものだと笑われ、すごすごと家に還った。妻に教えられて、次は本当の酒を飲んだと言うが、何程飲んだと訊かれて百目ばかりと答え、また化けの皮が剥がれる。今度は五合と言えと教えられて出ると、皆が燗してか冷でかと問うので、何を言いやがるんでえ、焼いて食ったえと答えてしまった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。