闇雲に射た矢が仕留めた盗人
どんな伝承か
舅の家に招かれた馬鹿智は、倉を見せられた折に弓矢のあるのを見つけ、どうしても射てみたくてたまらなくなった。夜半に妻を起こして弓矢を出させ、外へ出てあてどもなく四方へ矢を放ってから寝てしまった。翌朝、舅が起きて見ると倉の戸前に盗人が矢に射られて倒れていた。誰の手柄かと問われ、娘が自分の夫だと答えたので、智は皆にひどく褒められ、思いがけず礼の品まで貰って男を上げた。ところがその次の朝、炉に糞がしてあった。舅が昨夜の仕業は誰だと怒ると、智はそれも自分の手柄だと、身に覚えのないことまで言い立て、とうとう大事の妻を取り返された。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。