空籠を振る年頭の挨拶
どんな伝承か
馬鹿智が舅の家へ年頭の礼に行くことになったが、何と言えばよいか分からず、隣の兄に聞こうと川へ行った。兄は向こう岸で氷を割って雑魚を捕っており、こちらの声が届かない。兄は捕れ高を尋ねられたと思い、空のハキゴを高く振って「今朝はシバレてこればかり」と答えた。智はこれこそよい挨拶だと思い込み、舅の家に着くと、まず舅の前で空のハキゴを頭の上で振って同じ言葉を述べ、次に姑の前でも繰り返した。舅の家では呆れ返り、智は結局、大事の嫁を取り返されてしまった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。