弁当を取れない無精者二人
どんな伝承か
大の無精者があって、やむを得ぬ用事のために町へ出かけたが、途中でひどく腹が空いた。それでも背負っている弁当の握飯を取るのが面倒で、空腹を我慢して歩いて行った。すると向こうから、喉仏が見えるほど口を開けて来る男がいた。あれほど口を開けて歩くからには余程腹が減っているのだろうと思い、自分は手を出すのが大儀で我慢して来たが、そちらもよほど空腹らしいから弁当を取ってくれ、一緒に食おうと頼んだ。ところがその男は、自分こそ菅笠の紐がほどけたのを結ぶのが大儀で、こうして口を開けて来たのだと答えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。