大槌川に取られた十三の娘
どんな伝承か
上閉伊郡大槌町の大槌川の附近、正内という所に一人の娘があった。この娘は生まれながらに、土地の巫子から水性の物のもとへ縁女に取られると予言されていた。果して十三歳になった年の夏の日、大槌川で水を浴びるとて朋輩の女児四、五人と共に常に川へ行っていたが、この娘だけは連れから離れ、或る岩のほとりに寄って水中に体を浸していた。そうすること四、五日して、遂にその水の中に沈んで死んだ。死体を見ると陰部に粘液が付着していたので、多分鰻か何かの仕業であろうと言われたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。