遺品を自ら探す幽霊たち
どんな伝承か
岩手県三陸地方の南東部の町で、がれきの整理をしていた男が体験した話。彼が拾ったオルゴールの持ち主だという女性が作業を手伝い、対のネックレスを探していると語った。その顔に目も鼻も口もないと気づいて男は気を失ったが、ネックレスは数日後、女性が一生懸命に探していた場所の近くから見つかった。班長によれば、彼女だけでなく多くの幽霊が探し物を手伝ってくれるのだという。彼らが探しているであろう品は「供養するもの」としてまとめておく。地震の三回忌には、オルゴールと指輪とネックレスが、誰のものかはわからないまま祭壇に供えられていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
震災後の不思議な話-三陸の怪談(宇田川敬介)
『震災後の不思議な話-三陸の怪談』は、宇田川敬介が著した東日本大震災の被災地の怪異談集である。復興の手伝いで通った三陸の人々から聞いた虫の知らせや生死を分けた出来事、津波の犠牲者の霊、タクシーの幽霊などの話を、津波の言い伝えや『遠野物語』、オシラサマ伝説とあわせて記す。全体を「迫りくる危機と虫の知らせ」から「見守っています」までの四幕に分け、「おわりに」で取材の動機と、話者の名や地域を伏せた方針を述べる。