シロミ山の麓で見た無人の大館
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どんな伝承か
シロミ山の東南の麓、金沢という村の某という若者が山へ入ると、見たことも聞いたこともないほど大きな構えの館に行き当たった。大きな黒門を入ると鶏が多くおり、立派な厩には駿馬が六、七匹いた。裏へ回ると炉には火が燃え、常居には炭火がおこり、茶の間には大桶、座敷には朱の膳椀が並び、次の間には金屏風と唐銅火鉢があるのに、人は一人もいない。見て歩くうちに恐ろしくなって逃げ帰った。この男は少し足りない性質で、和野の善右衛門の家へ婿に来たが、灰を一箇所に山積みにして離縁になったという。同じ隠れ里の話は川や沼にもあるとして、和賀の例が続く。
原典より
昔、橋野川を神様が石の舟に乗って川筋を下って来た。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・大正・昭和(東北民俗)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・大正・昭和(東北民俗))
『遠野物語』の語り手・佐々木喜善が大正昭和期に郷里岩手で採集した東北の昔話・伝説の集成。冒頭の『奥州のザシキワラシの話』では、旧家の座敷に出没し家の盛衰を司るザシキワラシの諸相を集める。『江刺郡昔話』『紫波郡昔話』に続き、『東奥異聞』では不思議な縁女の話・黄金の牛・磐司磐三郎・千曳石・赤子抱き・偽汽車など奇譚を収める。
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