隠れ里の在処とされた白望山
どんな伝承か
著者は『遠野物語』に出会って以来、隠れ里の話に惹かれ続けてきた。遠野辺りではマヨヒガ(迷い家)と呼び、誰も足を踏み入れない山奥深くに御殿のような屋敷があり、そこにこの世の者とも思えぬ美しい娘が暮らしているという。作り話と考えていたが、ザシキワラシの検討から民話には相当の真実が含まれるのではないかと思い付き、隠れ里の話を調べ直すと、その場所が遠野近くの白望山とはっきり断定されていた。『遠野物語』で白望山に関わる記述をすべて確かめると、山中に白い光を見た、得体の知れない大勢の笑い声を聞いた、空を飛ぶ女の姿を見たといった超常現象ばかりが集中していたという。
原典より
『遠野物語』と出合って以来、一貫して私が魅せられているのは隠れ里の話である。—— 黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・1996年(平成8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
黄昏綺譚(高橋克彦・幽霊・怪異体験・1996年(平成8年))
『黄昏綺譚』は、高橋克彦が連載をまとめ、一九九六年七月付のあとがきを付したエッセイ集で、吉田光彦の挿絵と組んだ画文集である。著者が体験し見聞きした分身や生霊、寺での怪異、前世、UFOなどの不思議と、史料や神話に残る怪異、宮澤賢治をゴッホの生まれ変わりとみる考えを語る。「この世に幽霊はいる」「不思議な話が史料や神話に」「宮澤賢治はゴッホの生まれ変わり!!!」の三部に分かれ、巻末にあとがきと丸尾末広の解説「黄昏るペン」を収める。