相撲帰りに死んだ若者長命
どんな伝承か
上閉伊郡土淵村の某所での話である。語り手の近所に長命という若者がいて、林中でも田の草相撲などでもいつも人気を呼んでいたが、鎮守の相撲の帰りに急に病んで死んだ。その時、若者が息を引き取ると同時に、家の後ろの山から一人の大男が飛ぶように下りて来てその家に入るのを見た者があった。これは山男で、長命はいったん眷族の前では死んで山男の族へ行ったのだろうというのが専らの評判であった。また語り手の隣家の小町という十七ばかりの娘が流行感冒か何かで亡くなったときにも、同じような噂が立ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。