雷様の雨撒きを手伝った桶屋
どんな伝承か
ある所の桶屋が大きな酒桶に無理に箍をかけたところ、勢いよく弾けた拍子に天まで吹き飛ばされ、雷様の屋敷に紛れ込んだ。どこから来たと問われて日本から来たと答えると、雷様はこれから雨撒きに出るのに水袋持ちがいなかったと喜び、手伝いを頼んだ。雷様は太鼓を打ち鳴らし、桶屋は水袋で下界ににわか雨を降らせながら雲に乗って飛び回った。下界の騒ぎを面白がるうち雲の隙間から足を踏み外し、ある大寺の境内の大木の梢に引っかかった。和尚や近所の人々が集まって大風呂敷で受け止めたが、落ちた勢いで皆の額が鉢合わせして火が出て、その大木が燃えた。それが今の檜であろうという話である。
原典より
天から落ちた桶屋は或る大寺の境内の大木の梢端に来て引懸かつた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。