観音の声を騙った庄五郎の婿入り
どんな伝承か
近所の長者の一人娘はわがままに育ち、困った両親は観音に良縁を願掛けした。それを聞いたならず者の大工庄五郎は御堂の陰に隠れ、夜に拝みに来た夫婦へ、娘の婿には大工の庄五郎しかない、五年七年添えば良い男になると神のお告げのように告げた。喜んだ長者は庄五郎に縁談を申し込み、庄五郎は仲間の知恵で帯一筋と魚を祝いに贈った。婚礼の日、家に何もないので、博奕仲間が浜の砂を俵に詰めて船に積み、婿殿の米船が着いたと騒いで担ぎ込み、嫁入り道具の運び込みと重なって祭りのような賑わいとなった。里帰りした嫁の話を聞いた父母は良い婿だと褒め、庄五郎も長者になったという。
原典より
そこに亦博奕打仲間が多勢やつて来て、考へたあげく、渚傍に往つて砂を俵に入れ、船を借りて其れを積み込んで、…—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。