武家屋敷脇の池で七日続く蛙合戦
どんな伝承か
『古今佐倉真佐子』には蛙合戦の記事がある。田町の御門番所の近くに山下平兵衛という武家屋敷があり、その脇の池には蛙が数多く棲んでいた。流れがないので水はよくなかったが、毎年三月の末になると数千匹ものひき蛙が集まり、左右に分かれて昼夜七日ほども入れ替わり出ては噛み合った。傷ついたものは仲間の蛙が背負って引き上げるといい、そのため池の水はすっかり泥水になってしまう。蛙は六里も七里も離れた土地から集まるので、その間じゅう近辺にはひき蛙が一匹もいなくなり、合戦が終わるとまたあちこちに現れると百姓たちは話していた。土くれを投げ込まれても戦いをやめないので、見物人が絶えなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史)
『佐倉市史 民俗編――伝説・怪異』は、千葉県佐倉市の市史の民俗編のうち、第七章「民俗知識」と第八章「口承文芸」の伝説の節である。市内で採録した吉凶の予兆やまじない、民間薬、天気の言い伝えと、狐や狸の化かし、デーダラボーの足跡、岩富の首なし塚、天狗、狐火、印旛沼のカワボタルなどの伝説を収める。伝説は文化財保護委員会の分類に倣って自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説に分け、終わりに村々の禁忌を置く。