茶碗を叩いて行方知れずを呼び戻す捜索
どんな伝承か
『門野氏郷土物語』の書き手が二十二、三歳のころ、加茂の村人たちが金刀比羅山で鉦や太鼓を打ち鳴らし、「戻せ、返す」と唱えながら、行方の知れなくなった人を捜しているのを見たという。行列のしんがりには、いなくなった人と血のつながりの濃い者がつき、その人がふだん使っていた茶碗を箸で叩きながら歩く。そうすると姿を消した人が出てきて抱きついてくるのだといい、こうした捜し方はどこでも行われていたと記されている。
原典より
行列の最後には、失せた人の血縁濃い人が、失せた人の日常使っていた茶碗を箸で叩いて行くと、失せた人が出て来て抱きつくという。—— 兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
兵庫県民俗調査報告8――伝説(兵庫県(編)・兵庫県民俗調査報告)
『兵庫県民俗調査報告8――伝説』は、兵庫県の民俗調査報告の一冊のうち、第10章「口頭伝承」を収めたものである。三田市の乙原・小野・尼寺・青野・末の各地区を対象に、集落の発祥や神社、廃寺、城跡にまつわる伝説、天狗に導かれたという松住大権現、狐狸の怪、狼の話などを、聞き書きと『門野氏郷土物語』などの郷土の記録から記す。伝説のあとに昔話とわらべ歌を続け、わらべ歌は地元の中学校生徒会の協力で集めた尻とり歌や羽根つき歌を載せる。