取出原の火の玉
どんな伝承か
ある夏のむしむしする晩、遅くに取出原を野沢の方から自転車に乗って帰ってくると、自分のわきをすれすれに火の玉が通って前の方へ飛んでいった。うしろから来た感じで、まるで自分のふところから出て前へ行ったような気持ちの悪さを覚えたという。同じ聞き取りには寺の門を通る人玉や、屋根をころがって上っていく火の玉など、小海町一帯に伝わる怪火の話が数多く記録されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。