伊南川を挟んだ天狗の石合戦
どんな伝承か
伊南川を挟んで二人の天狗が住んでいた。大新田の松原に住むのが女天狗、大橋の滝沢に住むのが男天狗である。仲がよかったが、ある日、自慢話から一歩も譲らぬ言い争いになり、三日三晩、川越しに石を投げ合う大喧嘩となった。男天狗の投げる堅い石は松原の岩屋まで届き、女天狗の投げる柔らかい石は滝沢の岩屋の山裾までしか届かず、女天狗は負けて姿を隠し、一人になった男天狗もいつしか消えた。大橋村と大新田村の人々は災いをおそれ、それぞれの場所に天狗を祀り、旧三月二十五日を天狗様祭りとして農作業を休んだ。飛礫を三年供えると御利益があるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南郷村史 第5巻(民俗編)――昔話と伝説(南郷村(編)・南郷村史・自治体史(民俗))
福島県南郷村(奥会津)に語り継がれた方言による昔話三十一話と伝説十六話を網羅する。昔話はきのこの化け物・食わず女房・三枚のお札・笠地蔵・桃太郎・猿婿入り・ほととぎすの姉妹・人喰い鎮守・天女の羽衣・羅生門の鬼など、語り手(和泉田の五十嵐ヤスら各集落の伝承者)を明記して収める。