怪盗自雷也の生まれた村とされる鼠
どんな伝承か
鼠宿は、明治七年に新地・金井・横尾の三村と合併して南条村となる前の村名で、昔はただ鼠と書いたという。この鼠が、怪盗自雷也の出身地だと伝えられてきた。自雷也は中国の小説に由来する架空の人物とみられるが、忍術がもてはやされた江戸末期に広く愛読され、やがて史実めいた民間英雄として信じられるようになり、鼠という地名の妖術めいた語感から出生地に擬されたものらしい。自雷也は九字を切り、右手の人さし指と中指を立てて呪文を唱えると煙が湧き、大きな蟇の上にあぐらをかいて巻物をくわえる姿で語られた。強きをくじき弱きを助ける振舞いが庶民の喝采を得たという。
原典より
鼠宿もまたその出生地として世に信じられ、伝承されるようになったものであろう。—— 坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌)
『坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説』は、長野県坂城町の町誌上巻(自然編・民俗編)から、民俗編の数章を抜き出したものである。祟る所や神罰、ヒトダマ・狐火などの怪異、魔除け、植物の禁忌といった俗信を地区ごとの事例として番号を付けて並べ、続いて甘利さま、天田長者とほうず池、苅屋原の七不思議、貉和尚、夜泣き石など三十余りの伝説を収める。伝説の章は調査員の調査をもとに、以前の調査記録も二、三篇併せて載せる。