鮭を惜しみ絶えた船河原川
どんな伝承か
末崎町の船河原を流れる船河原川には、昔、毎年秋になるとたくさんの鮭が登り、部落の漁師が総出で漁をしたという。ある年、いつものように川の真ん中で網にかかった鮭を次々に陸へあげていると、川原のほとりを一人のみすぼらしい老僧が通りかかり、その鮭を一本めぐんでくれと頼んだ。しかし漁師たちは誰一人見向きもせず、腐った魚でもやりたくないと怒鳴りつけた。老僧はじっと黙っていたが、ここの人達の心は荒んでいる、船河原はこれからさびれるであろうと呟き、杖を川のほとりに立てて何か呪文を唱え、どこかへ立ち去った。以後、船河原川には鮭が一本も登らなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。