恨みの主が乗り移る祈祷口
どんな伝承か
口寄せのほかに祈祷口というものがあった。ケンカをして相手から恨みを持たれた人が、体の調子がおかしくなることがある。そんなとき、ワカドノに祈祷を頼むと、ケンカ相手がワカドノに乗り移って恨み言を述べる。そのしゃべり方は、その人とまったく同じであったという。口寄せをしないワカドノもおり、その場合は拝みが専らで、家に困りごとがあるとき、家の新築など新たに事を起こすとき、タタリが原因である病気のときなどに頼まれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。