根を上にして生えた善福寺の逆さ銀杏
どんな伝承か
麻布七不思議のうち、よく知られているのが善福寺の逆さ銀杏である。根を上にしたような姿の大木で、杖銀杏とも呼ばれた。高さは十丈五尺、幹まわりは三丈七尺あったという。江戸名所図会によれば、この木は開山堂の前に立っていた。親鸞上人がこの地を訪れ、念仏の法による凡夫の往生もこのようなものかと言って杖を地に挿したところ、たちまち根を逆さにして生え出したと伝わる。聖者の杖には力が宿るとされ、弘法清水の伝説にも同じ型がある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・宮田登が、妖怪を『日本の見えない空間』の問題として論じた現代民俗学の名著。Ⅰ妖怪のとらえ方では、柳田国男『妖怪談義』の妖怪論(妖怪は出る場所が決まり、零落した神)と、幽霊(都市の人間関係から相手を追って出る)との区別、昭和五十四年に流行した口裂け女(受験社会で母に叱られる子供の心意の投影、『喰わず女房』の鬼女の再来)と産女、島根県松江の雲州皿屋敷のお菊、明治の井上円了の妖怪学と真怪・仮怪の分類を扱う。