鶯谷駅近くの小路で刺された社長
どんな伝承か
説明のつかない事件にある日ふいに出くわす。そんな状態が日常になりつつあると著者は書く。札幌では、二人の子を連れて買い物から帰る途中の父親が、見も知らぬ男にいきなり胸を刺されて死んだ。東京でも、国電の鶯谷駅の近くで、会社の社長が小路から突然現れた男に包丁で刺し殺されている。こうした通り魔の事件は数え上げればきりがない。江戸の人が通り悪魔と呼んだものが、形を変えて現れているのだと見ている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・宮田登が、妖怪を『日本の見えない空間』の問題として論じた現代民俗学の名著。Ⅰ妖怪のとらえ方では、柳田国男『妖怪談義』の妖怪論(妖怪は出る場所が決まり、零落した神)と、幽霊(都市の人間関係から相手を追って出る)との区別、昭和五十四年に流行した口裂け女(受験社会で母に叱られる子供の心意の投影、『喰わず女房』の鬼女の再来)と産女、島根県松江の雲州皿屋敷のお菊、明治の井上円了の妖怪学と真怪・仮怪の分類を扱う。