身代わりに腹を切った臣とつつじ
どんな伝承か
昔、新町に新町左馬頭という殿様がいた。戦に敗れて浮金へ逃げてきたとき、藤井源蔵という者が殿様の鎧兜を身につけて身代わりとなり、殿様を落ち延びさせて自分は腹を切った。いま地蔵清水と呼ばれる柄杓井戸のところに腹切りつつじというものがあり、その最期の跡と伝えられている。のちに町の保泉寺という曹洞宗の寺の住職が、源蔵の供養のために月叟寺という寺を建てたという。代々源蔵の子孫が檀頭を勤めてきたが、その家はいまはなくなった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史)
『小野町史 民俗編――伝説』は、小野町が編んだ町史の民俗編から、第九章「ことばと伝承」の第一節「伝説」を収めたものである。田村郡小野庄にあたる町内の館主や城主の没落、坂上田村麻呂や八幡太郎、小野篁・小野小町にまつわる話、デンスケ坊の祟り、河童の恩返し、大蛇や名石・埋宝の話など五十四編を、大半は地元の人からの聞き書きで収める。村川友彦の「はじめに」と地域の特色の解説を置き、伝説を大字(旧村)ごとに並べ、語り手の名を添える。