鉄と金色の牛の角が語る浮金の名
どんな伝承か
浮金の北山の地は、昔、鉱石を採掘して鉄を製したところといわれ、浮金という地名もそこから起こったと伝える。あたりにはいまもカナゴ石が散乱し、金ヶ岳という小山があり、当地の寺を金峰山月叟寺と号するのもそれに由来するという。また字下田の老婆が庭先で麦を搗いていると、一頭の牛が来て干してある麦を食べはじめた。老婆が怒って杵を投げつけると牛の角に当たって折れた。あまりに見事な角なので気味悪くなり川に投げ込んだところ、角は沈みもせず金色に輝きながら川面を流れていった。これが浮金の地名の起こりだともいう。
原典より
浮金の北山の地は、むかし鉱石を採掘して、鉄を製したところといわれている。—— 小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史)
『小野町史 民俗編――伝説』は、小野町が編んだ町史の民俗編から、第九章「ことばと伝承」の第一節「伝説」を収めたものである。田村郡小野庄にあたる町内の館主や城主の没落、坂上田村麻呂や八幡太郎、小野篁・小野小町にまつわる話、デンスケ坊の祟り、河童の恩返し、大蛇や名石・埋宝の話など五十四編を、大半は地元の人からの聞き書きで収める。村川友彦の「はじめに」と地域の特色の解説を置き、伝説を大字(旧村)ごとに並べ、語り手の名を添える。