先を譲れば消えるベトベトさん
どんな伝承か
夜道を行くと、誰かが後ろからついて来るような足音の聞こえることがある。これを奈良県の宇陀地方ではベトベトさんと呼んだ。そうしたときは道の片脇へ寄り、「ベトベトさん先にお越し」と声をかけて歩けば、足音は聞こえなくなるという。音だけで人を驚かせる妖怪は各地にあり、姿を見せずに小豆をまく音を立てるものや、粉を挽く音だけさせる粉挽き爺などが語り伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年))
『暮しの中の妖怪たち』は、岩井宏實が昭和六十一年に著した妖怪の概説書である。鬼・天狗・河童から山姥、産女、雪女、怪火、ザシキワラシ、化け猫、狐狸、幽霊まで、各地の伝承や古典・絵画に見える妖怪を一つずつ取り上げ、その姿と仕業を説く。第I章で個々の妖怪を紹介し、第II章で妖怪の性格、出現の空間と時、正体を論じ、巻末に著者が資料とした妖怪の本の一覧とあとがきを置く。