茶釜・娘・馬に化けて恩を返した狸
どんな伝承か
もとは狐の恩返しとして語られた話が笑い話に仕立て直され、群馬県館林の茂林寺の伝説として狸の報恩譚になったものという。柴を売って暮らす貧しい爺が、子供たちに痛めつけられていた狸を銭を与えて逃がしてやった。翌日現れた狸は恩返しに茶釜に化け、爺はそれを寺の和尚に三両で売る。小僧が砂で磨くと茶釜は痛がり、その夜のうちに消えた。次に狸は娘に化けて女郎屋に百両で売られ店を繁盛させ、最後は馬となって遠国の長者に百両で売られたが、峠道で力尽きて倒れた。爺は長者となり、屋敷に狸のお堂を建てて供養したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年))
『暮しの中の妖怪たち』は、岩井宏實が昭和六十一年に著した妖怪の概説書である。鬼・天狗・河童から山姥、産女、雪女、怪火、ザシキワラシ、化け猫、狐狸、幽霊まで、各地の伝承や古典・絵画に見える妖怪を一つずつ取り上げ、その姿と仕業を説く。第I章で個々の妖怪を紹介し、第II章で妖怪の性格、出現の空間と時、正体を論じ、巻末に著者が資料とした妖怪の本の一覧とあとがきを置く。