飢饉を救った大歳神の遷座
どんな伝承か
大歳神社の由緒書『御神徳記』によると、祭神の大歳神は素盞鳴尊の子で、父子三代にわたり穀物を守る神とされる。尼子氏が栄えたころには鳶巣城の守り神として祀られていた。天文年間、この地方は何年も飢饉に見舞われ、人々はひどく苦しんだ。時の領主であった鳶巣城主の佐々木氏がこれを憂え、大歳神を守護神としてこの地へ移し、祈年祭を営んだところ、たちまち霊験が現れ、穀物ばかりか果実まで実らないものはなくなったという。これが神社の始まりとされる。のちに毛利氏の攻略で領主による祭りが絶え、社は一時荒れ果てたが、里人が畏れて力を合わせ、祭祀を立て直して子孫へ伝えてきたと記されている。
原典より
領主大二安堵シ里人始メテ蘇生ノ思ヒアリ尔来、厚ク之ヲ信仰年々祭祀ヲ怠ラザリキ。—— 島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編))
『島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの』は、出雲市大塚町の民俗調査報告書のうち、「XII 村の神」の章と「XIII 年中行事」の章の冒頭を収めたものである。氏神の大歳神社の祭りと由緒書、同族神・屋敷神・屋内神、札うち、講、寺、俗信、キツネに憑かれることを「サバラレル」と呼ぶ憑きもの、民間療法を、昭和五十七年ごろの聞き書きで記す。年中行事は正月準備から一月十一日の鎌初めまでで、文の途中で切れている。