薬師の池に棲む片目の鯉
どんな伝承か
慈林寺の薬師さまの龍燈の池に棲む鯉は、みな片方の目しかないといわれる。鯉に限らず池の亀なども一つ目で、これは目の病に悩む人が薬師に祈り、治ったお礼に池へ放した生き物が、願をかけた人の身代わりとなって、いつしか片目になるからだと伝える。そのため子供たちは、この池の鯉をいじめたり釣り上げたりすると目がつぶれると言い聞かされた。大人も田で働くときに亀を見つけると薬師さまの亀だといって池に戻し、近くの江川で片目の魚が獲れたときも、この池に放してやったという。
原典より
前記「龍燈の池」の鯉はすべて片目であるという。—— 川口市史 民俗編――伝説(川口市(編)・川口市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
川口市史 民俗編――伝説(川口市(編)・川口市史)
『川口市史 民俗編――伝説』は、川口市が編んだ市史民俗編のうち、第四章「伝説」を収めたものである。六兵塚や首塚などの塚、山・池沼・樹木にまつわる話、八百比丘尼の椿、神社・地蔵・観音・薬師の霊験、地名の由来、正月の餅を搗かない家例や蛇まつり、川口の鋳物の始まりなどを、地内の地名や家名とともに記す。自然伝説、信仰伝説、歴史伝説の三節に分け、節の中を塚・山・池沼などの項に立てる。