僧の予言どおり男児に生まれ変わった娘
どんな伝承か
千葉県の和田喜学の報告。和田は遠江国浜名郡白須賀宿の医師河合周造の家に寄宿していた折、次の話を聞いた。同じ郡の上の原村の田村荘兵衛は幼名を勇吉といい、生まれ変わりの子だった。荘兵衛の父には十歳になるおふゆという娘がいたが、ある年の一月に亡くなった。そこへ一人の僧が来て、娘は今年の十一月二十四日に男の子となってこの家に生まれる、左の掌に証があるから勇吉と名づけよと告げて去った。その年妻が身ごもり、予言の日に男児が生まれると左の掌に確かに証があった。和田は存命の母にも会って確かめ、生まれたとき手に握っていた品々も見せてもらったという。
原典より
そこで、早速その赤ん坊の左の掌を調べてみたら、たしかに徴証があった。—— 井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
井上円了 妖怪学講義(井上円了 著・平野威馬雄 編)
『井上円了 妖怪学講義』は、明治期に哲学館で講じられた井上円了の『妖怪学講義』から要所を選び、平野威馬雄が現代の文章に改めて編んだ抄録である。狐憑きや化物屋敷、怪火、幽霊、コックリなどを題材に、円了が古書から抜き出した記事、各地から寄せられた報告、円了自身の現地での調べを収める。原著の八部門のうち理学・心理学・宗教学・雑の四部門を章に立て、序で研究の経緯と分類を、結びで編者の見方を述べる。