雨漏りを恐れて逃げた狼
どんな伝承か
爺と婆が「獅子狼よりも漏りどんのほうが恐い」と言い合っていた。折しも雨漏りが続き、二人は笠をかぶり蓑を着てカサカサと音を立てながら家の中で漏りの手当てをしていた。それを外で聞いていた狼は、狼より恐ろしい漏りどんという者がいるのかと思い込み、蓑を着た爺婆の姿をその獅子狼だと勘違いして逃げ出したという。新妻の石橋ウメが語った、雨漏りを化け物と取り違える形の笑話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
成田市史 民俗編――昔話・伝説(成田市(編)・成田市史)
『成田市史 民俗編――昔話・伝説』は、成田市が編んだ市史の民俗編のうち、口承文芸の節を収めたものである。昭和五十二年から五十四年にかけての聞き書きをもとに、話者の一覧表を掲げ、喰わず女房や猫の踊などの昔話二十六話、多古の殿様などの笑話二十二話、七不思議・巨人・塚・坂・主の話など成田の伝説十二項を載せる。昔話と笑話の題には『日本昔話集成』の型番号を付し、語り始めの句や語りの場の解説を添え、末尾に世間話の節の冒頭を収める。