伊勢参りの土産
どんな伝承か
そこは鏡を知らない土地であった。婿が伊勢参りに出かけ、珍しさに鏡を買って帰り、押入れのどこかに隠しておいた。婿がいつも覗きに行くので、嫁は不審に思い、探してみると押入れに鏡が入っていた。取り出して覗くと自分の顔が映るが、それが自分だとは知らず、伊勢参りで女を買って来て隠していると思い込み、別れる別れないの大喧嘩になった。そこへ尼が仲裁に入り、どんなものかと鏡を手に取って見て、まあ可哀想に、女も尼になって泣いているではないかと言ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書)
『新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説』は、香川県の叢書の民俗篇のうち、第八編「口承文芸」を収めた部分である。香川県内の昔話と伝説を扱い、昭和初年からの採集の歩み、呼び名や発端・結末の句、桶屋やほうろく売り・遍路などの運び手、語り手の横顔を論じたうえで、綾上町などで聞いた未発表の昔話を話者名付きで掲げる。伝説の章は樹木・石と岩・水と池と渕・塚と穴・祠と堂・坂と山と峠と谷・動物の項目に分け、各話の末尾に伝承地の郡町名を添える。