掛け値の罪を祓う冠者殿社の誓文払い
どんな伝承か
京都の誓文払いは、商人が祇園の冠者殿社に参詣して、商いで掛け値をした罪を祓う日とされ、その日は十月二十日であったという。日ごろ嘘をつく者だけが祝う日だという言い方があるのも、この誓文払いと同じ考えによるとされる。大阪でも誓文払いは、一年の誓文を十月二十日のえびす講ですっかり清算するものとされ、のちには呉服商を中心とする大売り出しの行事となった。
原典より
京都では商人が祇園の冠者殿社に詣でて、懸値の罪を祓ふ日といひ、其日は十月の二十日であつたが(『日次記事』)、…—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。