山頂の石を斬る檜枝岐猟師の代参
どんな伝承か
福島県南会津郡檜枝岐村の猟師は、とりわけ二荒山と成田山を信仰した。二荒山へは毎年七月一日から七日まで、猟師仲間から代参を立てて参らせた。昔はその代参の者が頂上の大石に向かい、用意していった刀で「赤城権現真二つ」と叫んで斬りつけたなどという。狩人の信仰には密教修験の影響が濃く、唱え詞を諏訪のモンモンと呼ぶなど狩猟神としての諏訪明神の影も見える。山の神をめぐる禁忌や毛祭などの儀礼も、東日本の猟師の間に広く伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。