ハサミを供えて悪縁を断つ脱衣婆
どんな伝承か
南会津の檜枝岐村には、悪い縁を断ってくれる神としてハシバノバンバが祀られている。名は橋のたもとの婆という意味で、三途の川べりで死者の着物をはぎ取るという脱衣婆のことである。村に安置された像は高さ数十センチの石造りで、片膝を立てた老婆の姿をしている。死者から衣を剥いで現世とのつながりを断つ役目から、縁を切る力を持つと考えられるようになったのだろう。願をかける者はハサミを供える。ものを切るハサミの働きが、そのまま縁を切ることに重ねられているからだという。ただしこの神は、願った者にだけ力を貸すと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
王権の呪術的起源(ジェイムズ・G・フレイザー(著)/訳者名は原典に無し)
『王権の呪術的起源』は、ジェイムズ・G・フレイザーが一九〇五年にケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで行った講演の本 The Magical Origin of Kings の全訳で、思索社から刊行された。ネミの森の祭司「森の王」の謎を手がかりに、未開社会の呪術師が公共の呪術師を経て王や人神へ成り上がる道筋を、各地の民族誌や古典を引いて説く。全九講に典拠の注と訳者あとがきを付け、訳者は『金枝篇』第一部からの抜粋だと述べる。