縁切り榎と戻り橋
どんな伝承か
縁結びの神がある一方で、縁を切る霊験をもつとされる神仏も各地にある。東京・板橋の「縁切り榎」もその一つで、旧板橋宿の中山道に面した榎の大樹である。江戸時代には板橋宿の名所となっていた。この榎の下を花嫁や仲人が通ると縁談が必ず壊れるといわれ、そこから縁切り榎と呼ばれるようになった。幕末、皇女和宮が将軍家茂に降嫁する際にこの前を通ったときは、木が見えないように菰で覆ったと伝えられる。安倍晴明が式神を隠したという京の「戻り橋」にも同様の話があり、渡った花嫁は破談になって家に戻されるといわれた。
原典より
ハシバノバンバは、願をかけた者にだけその霊験を表すのだが、神のなかには相手の意志はどうあれ、一方的に縁切りをしてしまうものもいる。—— 王権の呪術的起源(ジェイムズ・G・フレイザー(著)/訳者名は原典に無し) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
王権の呪術的起源(ジェイムズ・G・フレイザー(著)/訳者名は原典に無し)
『王権の呪術的起源』は、ジェイムズ・G・フレイザーが一九〇五年にケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで行った講演の本 The Magical Origin of Kings の全訳で、思索社から刊行された。ネミの森の祭司「森の王」の謎を手がかりに、未開社会の呪術師が公共の呪術師を経て王や人神へ成り上がる道筋を、各地の民族誌や古典を引いて説く。全九講に典拠の注と訳者あとがきを付け、訳者は『金枝篇』第一部からの抜粋だと述べる。