盛夏の雪と昇天したビルゼン丸や
どんな伝承か
長崎県外海地方の『天地始之事』に語られる奇跡譚。ロソン国王の求婚を拒んだ美女ビルゼン丸やが天に祈ると、真夏だというのに雪が降り出した。人々が慌てふためく間に彼女は天から降りてきた花車に乗って昇天し、神から「雪のサンタ丸や」の名を賜ったという。聖母被昇天信仰が郷土的に変形され、奇跡の伝説が混ざり合ったものと解されている。
原典より
丸やは王の口説をのがれるため、天に祈ると盛夏に雪がふり出した。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。