菱山の雪崩に乗って下る白衣の老翁
どんな伝承か
越後国頸城郡の松の山の庄に、菱山という山がある。山の形が三角であることから付いた名だろうという。この菱山では毎年二月に入ると、夜中に限って雪崩が起こり、その響きが一続きに聞こえてくる。言い伝えでは、白髪に白い衣をまとった老翁が幣を手にし、雪崩に乗って下ってくるのだという。北越雪譜の初編に見える話で、著者はこれも雪女に縁の近いものだろうと述べている。
原典より
傳ていふ、白髪白衣の老翁幣をもちてなだれに乗りて下るさいふ—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。