黒雲とともに龍尾壇へ落ちた大蛇
どんな伝承か
古今著聞集の記事。延長八年七月二十日、黒い雲が西南の方から湧き起こって龍尾壇を覆った。すると風が吹き、五、六丈ほどもある大蛇が落ちかかって高欄を壊した。ところが、肝心の蛇の姿は見えなかったという。著者はこれを、龍が雲とともに現れる話の一つとして、その前に自分の言葉でまとめた要約とあわせて引いている。
原典より
延長八年七月二十日、黒き雲西南より來りて龍尾壇をおほふ。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。