鉄網の籠に飼われた鮫ヶ橋の雷獣
どんな伝承か
明和八年三月朔日、江戸鮫ヶ橋北町の和泉屋吉五郎方に、鉄網の籠に入れて雷獣が飼われていた。その姿は土竜が蠢くようで、額通りの毛は白く、鼻先は野猪に似ていた。眼光ははなはだ鋭く、目際は黒く眉はない。頭上から鼻先まで五寸、前足四寸、後足七寸、足の幅は前後とも三寸、足の形は熊の手のようで掌はいたって黒く、漆を塗ったようであった。鼻先から尾筒まで二尺五寸余、尾の長さ七寸五分、総身の毛色は白黒鼠柿色がまだらに交じって鹿毛のようであり、腹の毛は白い。四足の爪は鷲のごとく長さ九分。蛇や螻蛄、蟇、蜘蛛を食うというが、飯を与えてもよく食べたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・大正・昭和初期)
博物学者・日野巌の古典的妖怪研究『動物妖怪譚』の前半(總論〜多爾具久)。