修験の飼い狐が憑いたと訴える届書
どんな伝承か
『半日閑話』が写しとった、狐憑きの届書である。御普請役町田相之助の妹あいは、四月二日から乱心のようになった。よくよく問いただすと、自分は大久保新田の当山派修験・大乗院に飼われている狐で、祈禱を頼ませて布施を取らせるために大乗院の指図で乗り移ったのだ、と口走る。家の者は昼夜つききりで介抱し、大乗院の触頭である鳳閣寺へ相談した。呼び出された大乗院は言い開きもできず、組合の者たちも赤面したという。祈念で一度は落ち着いた病人が晦日から再び騒ぎ出し、幾度祈っても狐は立ち去らない。同じ噂が他所にもあると聞き及ぶので届け出る、と結ばれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・大正・昭和初期)
博物学者・日野巌の古典的妖怪研究『動物妖怪譚』の前半(總論〜多爾具久)。