上吉田村小猿伊予の飯綱三像
どんな伝承か
『善庵随筆』は信濃の飯綱権現について記し、甲斐郡内上吉田村の富士山神職小猿伊予の家に、古来より所伝の道了・飯綱・浅間の三銅像があると伝える。飯綱も道了と同じく、小天狗が狐に跨がった像であるという。いづなは信州の山の名で、頂に天狗の祠があるゆえ、山の名をもってその法に名づけたのだという。その法は天竺の荼枳尼天の法であり、抹香を焚けば行われないとされる。日本書紀舒明紀が天狗の字をあまつきつねと訓じていることからも、天狗が狐に縁のないものではないと論じられている。
原典より
甲斐郡内上吉田村富士山神職小猿伊豫が家に古来より所傳の道了飯綱淺間の三銅像あり。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。