墓籍略記に残る日澄寺の女墓十一軒
どんな伝承か
千葉県安房郡天津小湊町天津にある日澄寺の墓籍略記を調べると、法名に「妙」の字が入るなどして女子だけを葬ったとみられる家が十一軒、逆に男子だけを葬ったとみられる家が二軒見つかる。年代を追うと、男女別の墓制がはっきりとうかがえるのは十八世紀に入ってからで、十九世紀半ばになるともう消滅に向かっていったようだと分析されている。半檀家制と男女別墓制が並び立っていた時代の名残を示す記録である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。