納めるほどに太る熊野神社の神石
どんな伝承か
小板沢の市左衛門というしみったれた爺が、隣の湯沢の孫平爺を誘って伊勢参りに出た。帰りに鶴岡の茶屋で石につまずいて財布を落とし、拾うときそばに風変わりな小石があったので、これを持てば金になるかという欲心から財布に入れた。ところが道々財布を落とすたび、中の石は別の石に変わっていた。市左衛門はただの石で値打ちはないと迷いが出て、どこかへ投げ捨ててしまう。それを見ていた孫平が拾い、湯沢村の氏神である熊野神社に納めた。以来、市左衛門の家は没落し、孫平の家は次第に富んだ。石は年を追って太り、今では一メートルほどもあるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
本荘市史 文化・民俗編(現代(市史民俗編))
秋田県本荘市の伝説。竜馬山の主に足どめの法をかけた赤足止めの杉、船に害をなす虚空蔵山の手長・足長、吹雪で死んだ恋人を弔う大死人沢・小死人沢、伊勢参りの帰りに拾われ太り続けて家を富ませる熊野神社の神石、脇指目当てに殺された浪人とオウメの身投げの想思淵、弘法に水を断った罰で水の出ぬ弘法清水、龍神に通われ蛇を産んだかれい沼の女、人柱になったおから地蔵など、神石・水の怪・人柱・霊験の伝説を収める市史民俗編。