谷根の富士の人穴と庚申縁起
どんな伝承か
谷根には庚申の由来を語る「富士の人穴」の話が伝わる。大きな岩穴に化け物が棲みつき、村人をさらっていくので皆が困り果てていた。そこで力自慢の大男三人が穴に入り、化け物を懲らしめようとした。すると穴の中から大声が響き、自分は庚申であると名乗って、日頃庚申を敬わないからこうなるのだと叱り、これからは庚申の信仰を怠るなと諭したうえで、捕らえていた村人を放した。村人は約束どおり庚申を信心するようになったといい、この岩穴こそ富士の人穴だったのだという(山崎倉吉氏談)。はっきりとは言えないが、富士講の人々が作った話らしく、富士信仰の影響がうかがえる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
柏崎市史資料集 民俗篇(柏崎の民俗)――信仰と俗信(柏崎市(編)・柏崎市史)
『柏崎市史資料集 民俗篇(柏崎の民俗)――信仰と俗信』は、柏崎市史の資料集として編まれた民俗篇のうち、第四章「文化伝承」の信仰にかかわる部分を収める。柏崎市域のムラの神社とまつり、雨乞い・虫送りなどの祈願、家の神と屋敷神、民間小祠と路傍の石仏、寺と行事、修験、庚申講や米山講などの講を、聞き書きと「白川風土記」「神社明細帳」などの記録から記す。第六節「俗信」では予兆・占い・禁忌を分類して列挙し、昭和五十八年の熱田神社の年占の結果も載せる。