人穴で機織る女に止められた和田平太
どんな伝承か
『吾妻鏡』の仁田忠常の人穴探検を素材にした「富士の人穴草子」の伝えるところでは、源頼家は富士の人穴の噂を耳にして和田平太を探検に遣わした。人穴に入ると大蛇が口から火炎を出していたが、これを飛び越えて進むと、年の頃十七、八の女が機を織っているところに行き合った。女から、この先へ行けば命を落とすと告げられ、平太は引き返して仔細を頼家に報告した。頼家はいよいよ奥のことを知りたくなり、伊豆の住人仁田四郎忠綱を再度差し向けたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
異界巡礼(小松和彦)
『異界巡礼』は、小松和彦が著した民俗学の論集である。狐が人に化ける方法と如意宝珠、蓮如絵伝の異人、鬼退治譚と怨霊、家の盛衰をめぐる民話、夢信仰、巫女と陰陽道、洞窟や龍宮の他界観、人を神に祀る信仰、神隠しなどを、昔話・説話・絵巻・お伽草子と高知県物部村などでの調査をもとに論じる。論考と随想を部に分けて並べ、「民俗のランドスケープ」の部には妖怪、凧上げ、祓い、霜月祭り、呪い人形をめぐる小文を収める。