草津の湯に現れた一つ目の老女
どんな伝承か
日東本草図彙には挿図まで添えてこんな話が載る。上州の草津温泉では、毎年十月八日になると小屋を片付けて里へ下る習わしだった。ある年、仕舞いが遅れて二、三人が残り、夜中に酒を買いに里へ下ろうと湯のそばを通ると、湯の真ん中に銀のような白髪の老女がいて、どこへ行く、わしも行こうと言う。よく見ると顔の真ん中に目が一つしかなく、それがきらきらと光っていたので、小屋へ逃げ帰って気絶したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪談義(柳田國男選集 五巻)(柳田國男・柳田國男・妖怪学・1956年(昭和31年))
『妖怪談義(柳田國男選集 五巻)』は、柳田國男が妖怪についての論考を集め、昭和三十一年に自序を付して編んだ論集である。妖怪と幽霊の別を説く総論「妖怪談義」に始まり、川童・小豆洗い・ザシキワラシ・山姥・山男・大太法師・一つ目小僧・天狗などを、各地の言い伝えと方言の呼び名から考える。巻末に全国の妖怪の名を短い説明つきで集めた「妖怪名彙」を置き、大藤時彦の解説を付している。