道祖崎の釣竿に立った一つ目の黒ん坊
どんな伝承か
七十を過ぎた才助という老人が、道祖崎へしばき釣りに出かけたときのこと。ふと見ると、釣竿の先に目がひとつしかない真っ黒な者が突き立ったまま動かない。才助が、お前は何者かと問いかけると、その黒い者は、自分はこの場所の主だと答えたという。
原典より
才助といへる七十余りのオヤヂ、道祖崎へしばき釣りに出けるが、釣竿の先に黒ん坊、唯一眼なるが突き立て動かず。—— 岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年))
『岩邑怪談録』は、岩国藩士広瀬喜尚の怪談録に後人の増補と続録を合わせ、岩国徴古館が昭和五十一年に発行した資料集である。岩国周辺で人々が出会った化物・大坊主・生首・怪火・狐狸・天狗倒し・幽霊などの話を収め、藤田葆が編んだ『岩国沿革志』のうちの二冊を底本に、なるべく原文のまま新字に改めて載せる。広瀬の本録に、今田純一の追加、藤田の続怪談録と実事談・変死、静間密の付録五話を続け、巻末に語注を付す。