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野口の古塚の死霊を血脈で鎮める

所在地山口県岩国市野口
年代江戸期
登場山県何某、体験者
出典岩邑怪談録

どんな伝承か

山県何某の一族の妻は、懐妊するたびに五月目で流産した。陰陽師は古い死霊の障りだと言い、祈祷しても験がない。そこで近所の浄土寺の尊い和尚に頼むと、一七日の執行の後に血脈を渡され、障りをなす古塚に、人に見られず夜更けに一人で納めよと言われた。一族の男に尋ねると、若い頃に玖珂の在で置いた妾が、再び妻を持つなと言い残して死んでおり、その塚は野口という所の山の岡にあるという。山県氏は鳥打ちに行くと偽って出かけ、農夫に場所を教わり、火の燃える古塚へ夜半に血脈を納めた。翌朝帰ると病人は起き出して礼を述べ、以後は障りもなく安産したという。

原典より

此談ヲ写者、山県ガ母ニ聞クコトアリ。—— 岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

岩邑怪談録(広瀬喜尚(増補:今田純一/続録・編:藤田葆/付録:静間密/昭和版編集:宮田伊津美)・1976年(昭和51年))

『岩邑怪談録』は、岩国藩士広瀬喜尚の怪談録に後人の増補と続録を合わせ、岩国徴古館が昭和五十一年に発行した資料集である。岩国周辺で人々が出会った化物・大坊主・生首・怪火・狐狸・天狗倒し・幽霊などの話を収め、藤田葆が編んだ『岩国沿革志』のうちの二冊を底本に、なるべく原文のまま新字に改めて載せる。広瀬の本録に、今田純一の追加、藤田の続怪談録と実事談・変死、静間密の付録五話を続け、巻末に語注を付す。

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