情けは他人のためならず
どんな伝承か
昔、川田谷や日出谷にはいくつも坂があって人々は大変困った。ある年の春、年老いた見すぼらしい旅の僧がとぼとぼと坂を上ってきて、道ばたの草に腰をおろしたまま疲れが出て動けなくなった。通りかかった村人が荷車に乗せて家へ連れ帰り、わらじを脱がせ体をふいて寝かせ、粥を作って世話した。二、三日で快くなった僧は礼を述べ、自分が死んだら汚い荷物も一緒に埋めてくれと言い残して間もなく世を去った。荷物の箱には小判がいっぱいあり、これを元手に働いて村一番の長者になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話(桶川市(編)・桶川市史)
『桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話』は、桶川市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその昔話・伝説の部分と第四節「予兆・占い・禁忌・呪い・民間療法」が収められている。昔話・伝説は調査ではほとんど聞かれなかったため、「広報おけがわ」に連載した話を中心に、イットコショダンゴ、古池の大蛇、熊野神社の池の膳椀貸し、狐狸に化かされる話など二十余りを区分せずに載せる。俗信の節は、言い伝えを桶川・加納・川田谷の地区ごとに箇条で並べる。