透明な柱を昇って本体と合体した夜
どんな伝承か
五井昌久は、想念停止の試練が一区切りついた翌日の夜、いつものように就寝前の瞑想に入った。修行の効果ですぐに統一状態に入ったが、その日はいつもと違って吐く息だけが続き、やがて目の前に透明な柱が天まで続いているかのように見えてきた。その吐く息に乗って柱を昇っていくと、光明に満ちた世界が次々に現れ、最後にその中に坐していた衣冠束帯の自分の本体と合体した。そしてその目に天国的な世界の情景が映っては消えたという。我に返ってみると、これはこの世の時間にして約三十分のことであったとされている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鎮魂行法論――近代神道世界の霊魂論と身体論(津城寛文・津城寛文・宗教学)
『鎮魂行法論――近代神道世界の霊魂論と身体論』は、津城寛文が著し、春秋社から刊行された宗教学の研究書である。本田親徳・出口王仁三郎・浅野和三郎・友清歓真・川面凡児・田中治吾平・宮地水位など、近代以降の神道界とその周辺に現れた鎮魂行法家の系譜をたどり、その鎮魂帰神説や霊魂観をシャーマニズム研究の観点から整理する。序章と全七章からなり、第一章で行法家の群像を描き、第七章では「宗教的身体境界」の考え方によって鎮魂行法を類型化する。